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大阪高等裁判所 昭和50年(行コ)17号 判決 1977年3月18日

控訴人 株式会社塚腰運送店

被控訴人 下京税務署長

訴訟代理人 宝金敏明 大河原延房 ほか二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事  実<省略>

理由

当裁判所も、控訴人の請求を失当とするものであり、その理由とする認定・判衛は、後記(一)ないし(九)のとおり加入・訂正をするほか、原判決理由欄記載のとおりであるから、右記載を引用する。

(一)  原判決一三枚目表一一行目の「総合すると、」の後に「控訴人会社の発行済株式数、各株主の身分関係及び持株数が被控訴人の主張(前記(二)の4)のとおりであることが認められ、右事実によれば、」と加入する。

(二)  原判決一三枚目裏二行目の「あることが認められ」を「あり」と訂正する。

(三)  原判決一六枚目表六行目の次行以下として、次の一項を加える。

「なお、実質的な点からみても、賞与が課税の対象とならない使用人賞与であるかどうかは、その賞与が使用人としての労働の対価として支給されたものであるかどうかによるものであるところ、同族会社であることについての判定の基準となつた株主等は、その会社に対する関係自体からみて、自己及びその同族関係者の持株を通していつでも会社の経営や経理に支配を及ぼすことができ、その地位は、社長等会社の最高意思決定者にも匹敵するというべきものであるから、たとえ右株主等が使用人と同様の職務に従事しても、それは、社長等法人の業務執行者が右職務に従事したと同様、その行動自体がいわば法人の行動と同視しうべきもので、これを使用人としての労働とみることはできないのである。右株主等を旧法人税法施行令第七一条第一号ないし第三号の者と異質であるとする控訴人の主張は採用できない。」

(四)  原判決一六枚目裏七行目の「おり」の後に「(ただし、招待状の封筒裏面は「塚腰運送店」としたものもあつた。)」と加入する。

(五)  <省略>

(六)  原判決一七枚目表八行目の「計理」を「経理」と訂正する。

(七)  原判決一八枚目裏二行目の次行以下として、次のとおり加入する。

「一方、会社からの金員の支出が交際費と認められるためには、会社が取引関係の円滑な進行を図るために支出するという意図を有したことを要するのは当然であるが、そればかりでなく、その支出によつて接待等の利益を受ける者が会社からの支出によつてその利益を受けていると認識できるような客観的状況の下に右接持等が行われたものであることを要するのは、いうまでもないところである。」

(八)  原判決一八枚目裏五、六行目の「催されたもの」の後に「であつて、招待された側でも控訴人会社の費用で右接待が行われたと認識していたもの」と加入する。

(九)  原判決一八枚目裏一〇行目の次行以下として次の一項を加える。

「なお、控訴人は、私的な行事であることは交際費であるかどうかを区分する基準にならない旨主張するところ、なるほど、交際費の支出により取引の円滑な進行を図るために相手方に供与するものとしては、「飲食」、「娯楽」等の個人的満足を目的とするものの多いことは、控訴人主張のとおりであるが、この場合においても、控訴人のいわゆる私的な行事により個人的満足を得るものは、接待等を受ける相手方であり、交際費を支出する接待者側が同席して個人的満足を得たとしても、それは交際費支出の目的ではなく、接待者側の個人的満足を主たる目的とする行事、すなわち、接待者側の個人にとつての私的行事のために支出されるものが会社の交際費といいえないことは、いうまでもないところであり、控訴人の右主張は、右に反する限度で失当である。」

したがつて、原判決は相当であるから、本件控訴を棄却することとし、民事訴訟法第九五条、第八九条により控訴費用は控訴人の負担として、主文のとおり判決する。

(裁判官 喜多勝 林義雄 楠賢二)

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